高原の親友たち---ある日の妖精JujuとHal--- <第2話・前編>
夏が来た。
Hal、Juju、バコタ、リーヤの仲良し4人組は小川で楽しく水浴びをしていた。
「湖で食べる木の実もまた格別ってやつかな! 水もうまいし言うことなし!」
「湖に来たら普通は泳ぐもんだ」
優雅に泳いでいたバコタがため息混じりに言う。
「仕方ないさ。リーヤは泳げないんだから」
Halは笑った。
暑い日にはこうして毎日水浴びに来ている。ここ最近暑い日が続いているので湖に来るのは4人の日課となっていた。
「そういやJujuはどうした?」
「水着に着替えるって言っていたけどそろそろ・・・あ、来たね」
草むらから水着に着替えたJujuが出てきた。
「ど、どうかな。お母さんが新しい水着を作ってくれたの」
恥ずかしそうに顔を俯かせるJuju。
Halは言葉を失ったまま彼女を見上げていた。
「おい、何か言ってやれ」
バコタに小突かれてHalは我に返ると、
「あ、うん。とってもよく似合っているよ」
素直に思った事を口にした。
「え、あ、そのありがとう」
「いやぁ〜本当に綺麗だよ。な、な、バコタもそう思うだろ!」
「ああ。さしずめ水の妖精だな」
「ふ、二人とも誉めすぎだって」
顔を真っ赤にさせるJuju。
本当に綺麗だった。水色を基調とし、胸と腰の所に透明なフリルがついている。バコタの言うように水の妖精のようだ。
「は、早く泳ご」
逃げるようにJujuが水の中に飛び込む。
「なら誰が一番速く泳げるか競争しないか?」
「名案だな」
「うん。絶対に負けないから!」
3人はスタート位置についた。
「おっし。よ〜い・・・スタートって言ったらスタートだから間違えんなよ」
3人は泳ぎだそうとしてコケた。
「リーヤってばもう・・・」
「今度やったら木の実隠すからな」
バコタに睨まれてもリーヤは笑いながら、
「お約束はやっぱりしなくっちゃだろ? よし。今度は本当にいくぞ」
3人は構えた。
「よーい・・・・・・・・スタート!」
リーヤの合図と共に3人は一斉に泳ぎだす。
この勝負で勝ったのはJujuだった。
ちなみに2着がHal、3着がバコタだった。
湖での楽しい時間はあっという間に過ぎた。
4人が楽しく話ながら帰ろうとしたとき・・・事件は起きた。
「あれ・・・何だか体に力が・・・」
とつぜんJujuが倒れた。
「Juju、どうしたんだい? Juju! Juju!」
HalはJujuを抱き起こして何度も呼びかけるが応えは返ってこなかった。
「ねえバコタ、いったいなにがどうなっているんだい? 色々知っている君なら何か知らないか」
「すまん。俺にもわからない」
バコタは本当にすまなそうに頭を下げた。
「う〜ん・・・そうだ! オババだよ! オババなら何か知ってるって!」
「そうか」
Halは頷いた。
高原に住んでいる生き物でもっとも長生きしているフクロウのおばあさんなら何か知っているかもしれない。
「それならさっそく行こうぜ。Jujuは俺に任せな」
「頼むよ」
HalはJujuをバコタの背に乗せる。
3人は急いでフクロウのおばあさんの元へ向かうのだった。
つづく→第2話・後編
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