高原の親友たち---ある日の妖精JujuとHal---<第1話>
暖かな日差し。
雲ひとつない青空。
今日も森には気持ちの良い朝がおとずれた。
「気持ちいいね」
Jujuは全身で太陽の光を浴びるように身をのばした。
「ああ。本当に気持ちがいい」
空から降り注ぐ暖かな光、髪を撫でる心地よい風・・・HalもJujuと同じように身をのばす。
二人がいるのは広い広い高原。
生い茂る草はさながら黄緑色の大海原だ。
HalもJujuもここが大好きだった。
「お〜い、Hal〜! Juju〜!」
二人がいつもと同じように花畑を飛んでいると、親友のバコタが声をかけてきた。
バコタは黄色い羽根をもつ可愛い小鳥。いつも遠くへ飛んでは珍しい物を見せてくれる。
ここ最近顔を見なかったからどこかへ行っていたのだろう。
「やあバコタ。今度はどこへ行っていたんだい?」
地上に降りたHalは少しウキウキしながらバコタに問う。
「ちょっと北の方にな。まだ北の空はまだ寒くて大変だったけど、気持ちよかったぜ」
「お、そうだ、今回はこれを見つけたから二人にって持ってきた」
そう言ってバコタは草の上に置いてあったクローバーをくわえあげた。
ただのクローバーじゃない。
幸せを呼ぶと言われる四つ葉のクローバーだ。
「わ〜。これ私達がもらっちゃっていいの?」
「ああ。これは二人の為にって持ってきたんだ。喜んでくれれば嬉しいな」
「ありがとう。大事にする。ね、Hal?」
クローバを抱きかかえたJujuが笑顔を向けてくる。
「うん」
Halも笑顔で答えた。
「およ? バコタじゃん! いつ帰ってきてたんだよ」
と、木の小枝のから小リスのリーヤが飛び降りてきた。
彼もまたHalやJujuの親友であり、仲間だった。木の実が大好きで、いつも両手に抱えている。
いまも彼は頭ほどある木の実を大事そうに抱えていた。
「ついさっきだ。お前は相変わらずの食いしん坊だな」
「うまいもんは食べなきゃそんそん。そういえばこの前うまい木の実ゲットしたからみんなにやるよ」
「え〜。この前みたいに苦いのだったら嫌だな」
Jujuがクスッと笑った。
「こ、今度は絶対にうまいって! ホント、うまくて頬がおちちまうって!」
「ま、だまされたと思ってくってやるよ」
バコタもリースをからかうように笑う。
からかわれたリースは口を尖らせてそっぽを向く。
けど、すぐに笑顔になった。
それからしばらく四人は笑いあった。
いつものたわいない友達との会話。
だけどかけがえのない大切で、楽しい時間。
大自然に囲まれ、友に囲まれたこの高原の生活がいつまでも続くことを・・・。
Halは青空を見上げながら静かに願った。
つづく→第2話・前編
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