++ halzo world ++

ノースロード 
2004年06月09日(水)
halzo58.png 200×200 13K
ハラハラの詩に見送られ
ノースロードの片隅を歩き続けるイノス達は
木の葉の囁きを聞いた気がした。

「・・・イノス、僕 行かなくちゃ」
「?、 どうしたの?」

木漏れ日が眩しい

「忘れ物 したみたいなんだ」
「忘れ物?」

駆けずり回る動物の仔等の足音
はしゃぐ声

「未来都市の伝説 思い出しちゃった。
 あそこにはウィッシュマスターの
 メッセージがあるんだ。
 僕が詠ったのは
 たぶんキミへのメッセージ。
 僕へのメッセージもきっとあるんだ。
 僕、探さなくちゃ・・」

草木の香りはとても優しい

「いっといで、平気だから」
「・・・ゴメンね。見つけたら必ず
 必ず帰ってくるから!」

見送るイノスを
ノースロードは柔らかにつつみこむ
見えないけど
微かだけど
確かに
ノースロードの息吹を感じる。

ハラハラの詩が終わる
イノスは心に浮かんだノースロードの姿を
言霊で奏で天使に送った。

(春蔵様・詩)
--------------------

そよ風に小さく揺られ
緑の木の葉が歌う
木漏れ日 浴びて
キラキラ輝く ノースロード

豊かな大地に根を張る
悠久な時の流れ
たくさんの生の営みを
静かに見守る ノースロード

愛しい命たちの声に
いつも耳を傾けてきた
弱きものたちの叫びに
その身を捧げてきた ノースロード

愛するものたちを失い
忘れ去られようとしている
滴り落ちる露は悲しみ色
それでも愛し続ける ノースロード

(ハル・詩)


北の森の宴 
2004年06月06日(日)
halzo57.png 200×200 20K
辿りついた先はノースロードの樹海
・・だったところ。
マッチロケに喰われた今はもう
樹海とは とてもいえない。
「・・なんだ、
 コロポックルが帰ってきたんじゃないんだ」
森の妖精ハラハラは小さくため息をついた。
ハラハラは待っている
小人達が戻ってくる日を
ハラハラは願ってる
ノースウッドがまた 賑やかになる日を
ずっと、ずっと・・・。

「最終戦争の話だね。えっと・・どこから話そう・・・
 昔、ここは大きな世界の一部だったんだ。
 たくさんの人達が
 たくさんの思いを募る大きな大きな世界。
 
  そこには2人の統べる者がいたんだ。
 ウィッシュマスターとドリームメイカー
 彼らはたくさんの思いを詩で紡ぐという
 とても素敵な方法で世界を治めてた。

  でもある日、おかしな奴が現れたんだ。
 そいつは他の人たちの思いを押しつぶすように
 たくさんの、たくさんの思いをぶつけてきた。
 人のことを考えないそいつの
 強い、強い自己主張の所為で
 そこには生まれるはずのなかった戦争が起こった。
 それが最終戦争、最初で最後の戦争だよ」
「それで・・どうなったの?」
「ドリームメイカーをはじめ
 多くの優しい人たちが失われ
 ここは大きな世界から別けられた。
 ここはそいつの小さな世界ってわけ」
「そいつって誰?」
「梵と魂が知ってるよ」
「誰それ?」
「狸と狐の変な兄弟。
 さっき会ったばかりだから
 まだその辺にいると思うよ」
イノス達と別れた後
ハラハラはなんだか懐かしくなって
昔、樹海がまだ賑やかだった頃に訪れた
詩人の詩をそっと口ずさんだ。

(春蔵様・詩)
--------------------

まんまる月夜 みんなの祭り
ポンポコ ポンポコ タヌキさん
祭りの合図だ ポンポコポン
リスさん シカさん キツネさん
みんな集まれ 輪になって踊ろ

まんまる月夜 無礼講祭り
ペッタン ペッタン ウサギさん
祝いの餅つき ペッタンコ
ウシさん ウマさん ヒツジさん
みんな集まれ 輪になって歌お

まんまる月夜 ニコニコ祭り
キラキラ キラキラ お星さま
夜空彩る キラキラリン
ヒトさん クマさん オオカミさん
みんな集まれ 輪になって笑お

(ハル・詩)


希望の色 
2004年05月30日(日)
halzo56.png 200×200 27K
天使は詠い終えると
ニッコリ微笑んだ。

「ね?素敵な詩でしょ?」
「うん、キラキラでポカポカでフワフワだ
 詩人ってすごいね」
「エヘヘッ♪僕、愛の勉強が終わったら
 絵の勉強するんだっ」
「きっとこの詩みたいに素敵な絵が描けるよ
 だって こんなにいい詩もらったんだもの・・・?
 何あれ??」

マッチロケの空をフワフワ
透きとおったモノが飛んできた。

「お魚ちゃん♪最終戦争の時に
 僕をお迎えにきた死神さんの祝福」
「最終戦争?」
「聞きたい?」
「うん」
「乗りなよ、知ってるヒトに逢わせてあげる」

未来都市から飛び立つイノスは知らない
未来都市に刻まれた詩が
未来都市を訪れたモノへの
未来都市からの祝福だということを
未来は常に光りあるようにと願う
詩人からのメッセージだということを
未来都市から飛び立つなりたての天使は知らない
やがて自分が1人前の天使になって
もう一度ここへきた時
あの壁の裏に自分あての詩もあったことを
発見する日がくるのを

(春蔵様・詩)
--------------------

すべてが虚無に包まれるとき
世界のすべては真っ白け
大いなる者の声さえ届かず
天使たちは為すべきことを見失う

ここにひとりの天使あり
純粋な白い世界に生まれ
白いキャンバスに絵を描き続ける
虚無の白に染まらない天使

多くの出会いを経て成長し
多くの色を手に入れる天使
携えた純粋な白いキャンバスは
無限の可能性を秘めた自由の色

様々な心を映す色を駆使して
真っ白な世界に絵を描こうとする
虚無の色を染めるべく色を使い果たす
しかし次々と消えてしまう色たち

成長する生きた絵が描けず
何かの色が足りなくて苦悩する
襲いかかる初めての挫折感
生まれ故郷に舞い戻る天使

虚無の色を染めるのは希望の色
一人では作れない希望の色
願う多くの心を一つにして
初めて作り出せる希望の色

多くの心が一つになって
希望の色で希望を描く
真っ白な虚無の世界を打ち破り
多くの命と共に実現する希望

(ハル・詩)


真っ白なキャンバス 
2004年05月28日(金)
halzo55.png 200×200 27K
詩の聞こえる方へ
建物の中へ
イノスは導かれるように
縋るように歩いていった。
「やっ、未来都市へようこそ!」
「あの詩はキミが・・?」
「そっ、あそこの壁に書いてあったやつ
 詠ってたんだ。いい詩でしょ?
 誰にあてたメッセージだろうね」
「・・キミは 誰?」
「僕は天使 なりたての天使
 キミの詩に呼ばれたんだ」
「ボクの詩?」
「うんっ、さっき“愛”を詠ったろ?
 僕、愛を勉強中なんだ!なりたてだからねっ♪
 愛のことならなんでも知りたいんだ
 キミは誰?」
「ボクはイノス 詩を詠える人を探してるの」
「詩?僕ふたつ知ってるよ
 どんな詩探してるの?楽しい詩?愛の詩?」
「帰ってくる詩
 マッチロケから世界が帰ってくる詩 知ってる?」
「僕、知らないや。
 僕が知ってるのはこんな詩だよ♪」
そう云うと
ちょっとおしゃべりな なりたての天使は
初めて羽根が生えた時に
立ち会った詩人が送ってくれた
詩を詠いだした。

(春蔵様・詩)
--------------------

今日は君の記念の日
たくさんの魂に会うために
たくさんの心に会うために
この世界に来てくれた

君の持ってるキャンバス
君と同じ真っ白な世界
さあ絵筆を取ってごらん
ここに絵を描いてごらん

まず君は色を探そうね
君が見たことない色たち
君が感じたことのない色たち
少しずつ見つけていこうね

キラキラの涙色
ポカポカの微笑み色
フワフワの恋色
いろんな心を映す色たち

君にしか描けない
優しさ溢れる世界
みんなの希望の世界
いつの日にか見せてね

(ハル・詩)


あなたの未来都市 
2004年05月24日(月)
halzo54.png 200×200 25K
門を潜ったイノスが見たのは
静寂という言葉が形を成したかのような
静かで寂しい都だった。

「愛・・・・・か、
 それを語る者はその意味を知らず
 それを知る者は語る言葉を持たぬという。
 おまえが何を思い そう詠ったのか
 敢えて問わぬ・・・

イノスはトボトボ歩きながら
門番の言葉を思い出す

「答えは この先の都がだす。

花も樹も生えてない
 空もなく鳥も囀らない
  誰も1人も歩いていない

「この先の都は心を映す
 願いも希望も
 虚ろも絶望も
 おまえの気づかぬ本心を突きつける。
 さぁ、行くがいい。
 心の都・・・

その都の名は
未来都市といった。

未来とは それを切り開く者の
心の奥に秘められるもの
そこに偽りしかなければ・・

イノスが淋しくて寂しくて
歩けなくなりそうになった時
遠くの方から詩が聞こえてきた。

(春蔵様・詩)
--------------------

長い長い間待っていました
寂しくって悲しくって
気の遠くなるような時の流れ
この未来都市を見つけるあなたを
ずっとずっと待っていました

遠い遠い旅してきたあなた
きっと疲れていることでしょう
あなたの本当の名前も忘れ
あなた自身がいる世界も忘れ
辛かったことでしょうね

あなたはあなたのままで
あるがままでいいのですよ
みんな忘れてしまっても
未来都市はあなたの心
あなたの深層にある世界

生きるよろこび
あるがままのあなたである悦び
愛することができる喜び
あなたの心にある世界
あなた自身がいる未来都市

(ハル・詩)


生きる 
2004年05月23日(日)
halzo53.png 200×200 19K
羽のある小さな子が
詩人のくれたもうひとつの詩の内から
忘れていた大事な歌を思い出しかけたころ
イノスは天蓋の消えかけた大きな門の前に立っていた。
「この先に都が・・」
「あったんだ。昔な」
「昔?」
「今は知らん。そこらじゅう真白く消えているからな」
「キミは誰?」
「門番だ。守るべきものを失った無意味な存在だ」
「無意味?」
「都がなければ門など意味がない。
 ならばそれを守る我もまた無意味だ」
「都はないの?」
「たぶんな」
「行って見たの?」
「否」
「あるかもしれないよ」
「何故」
「門が残ってて門番もいるでしょ?
 だからまだあるかも知れないよ」
「・・・そうだな。希望を棄てぬ旅人の前で
 門番が諦めてはいけないな」
薄らいだ門が少しだけ実体を取り戻し
門番は悠然とイノスの前に立ちはだかった。
「この先に行きたくば 我の問いに答えよ
 ここは登竜門 我は門番なり」
使命を取り戻した門番が問い掛ける。
「人は
 何故 生きるのか」
イノスに試練が始まった。

(春蔵様・詩)
--------------------

 “生きる”

生きることに意味がある
生きているから 苦悩がある
愛されたい
愛したい

生きることに意味がある
生きているから 幸せがある
愛されること
愛すること

生きることに意味がある
生きて 生きることを謳歌する
愛されている
愛している

(ハル・詩)


こころ 
2004年05月21日(金)
grp0915150522.png 200×200 9K
フニックは飛んでった
フェニックスになって飛んでった
フワフワの雲のない 青くも赤くもない
空の向こうへ飛んでった。

ボクもこの服を着てたら
  いつかは鳥になれるかな

そんなこと考えながら歩いていくと
イノスは羽のある小さな子と出会った。
「キミは誰?」
「キミこそ誰」
「ボクはイノス、詠える人を探してるの」
「イノスが探してるのはアタシじゃない。
       アタシは歌えない天使だから」
「どうして詠えないの?」
「大事な歌を忘れたから」
「大事な歌?」
「大事な・・とても大切な歌を忘れたから
 見つかるまで歌わないって 決めたから」
「ボクも捜すの手伝うよ」
「イノスは詠える人を探してるんだよね
 この先に都があったんだ。
 まだあれば そこにきっと居るはずだよ」
「でも・・」
「行きなって」
「・・・うん。 バイバイ」

都へ向かうイノスを見ながら
     羽のある小さな子は思う

昔、イノスのように声をかけてきた人がいたっけ
あの人もイノスのように優しかったな
素気ないアタシにあの人は詩をくれたっけ

歌わないと決めた天使は
歌わないって決めたけど
あの時 詩人がくれたもうひとつの詩を
そっと口ずさんでみた。

(春蔵様・詩)
--------------------

純粋な心
素直な心
心と心がふれあって
聞こえてくる爽やかなメロディー

優しい心
思いやりの心
心と心がふれあって
流れてくる安らぎのメロディー

あなたの心
わたしの心
心と心がふれあって
生まれでる愛のメロディー

(ハル・詩)


フェニックスの帰還 
2004年05月19日(水)
grp0915150016.jpg 300×300 31K
カエルの姿のフニックは、瞬く間に、眩い火の鳥に変身していく。

わたしは、フニック……フェニックス……。
灰の中から蘇る不死鳥。
わたしは、人々に希望を与え、愛の心をよみがえらせ、世界を再生しようとしていました。
忘れ去られ、消えかけようとしている真っ白な世界は、わたし自身にも変化をもたらしました。
わたし自身の存在と力を忘れかけて、カエルの姿に変貌していました。
潜在意識だけは、辛うじて失ってはいませんでした。
わたし自身が蘇るキーワード、『愛』の言葉を思い出させてくれました。
イノス、ありがとう!
あなたのお陰で、みんなの世界は戻ってきます。

フェニックスは宇宙のエネルギーそのもの。
みんなの心をひとつにする最後の希望……愛。

(ハル・詩)


詠える人……誰かが知ってる詩…… 
2004年05月16日(日)
halzo50.png 200×200 12K
詠っていたのは変なカエル
やってきたイノスを見ると
変な格好で 変な顔して 変なため息をついた
「あにゃぁ〜なんてこったい、チミの詩だったんだにぃ」
「?? ボクの詩?」
「まぁた失敗かぁにぃ〜」
「? ボクの詩は失敗なの?」
「うにゃ?そうじゃないにぃ。チミの詩は成功だけど
 フニックの目的は失敗なんだぁにぃ」
「フニックの目的?」
「フニックは世界に帰ってきてほしかったんだにぃ〜
 見てごらん。どこもかしこも真白でしょう
 世界はこうして終わっちゃうんだにぃ〜
 フニックはそんなのヤダから詠ってたんだぁにぃ〜」
「詠うと帰ってくるの?」
「詩は世界の欠片だにぃ〜
 いろ〜んなこと感じた心が言葉になると詩になるにぃ
 だから詩を聞くと世界が思い出して帰ってくるにぃ
 で〜も帰ってきたのはチミだけ
 フニックは失敗したにぃ〜」
「フニックって何?」
「私だにぃ。はにゃ〜・・そうだ!
 チミにも手伝ってほしいにぃ〜」
「手伝う?」
「詠える人を探してほしいにぃ
 きっと誰かが知ってる詩で世界が帰ってくるにぃ〜」
「うん、わかった!」
「じゃぁ、フニックの服をあげるにぃ
 これ着れば寒いときも平気だぁにぃ〜」
「ありがと」
イノスが歩き出すと
動くのが苦手そうな変なカエルは
また詠いだした。

(春蔵様・詩)
--------------------

『詠える人を探す……』
『誰かが知ってる詩で世界が帰ってくる……』

どうしたらよいのか、イノスは独り思案する。
考えているうちに、しだいに自分自身の存在、世界の現状、自分の使命を、おぼろげながら自覚し始める。

戦争や暴力が蔓延り、精神が蔑ろにされて、まさに消えようとしている世界。

フニックは、世界が戻ってくることを願う詩を詠っている。
詩を詠う誰かを探そうとしているけど、フニック自身が、その鍵を握る存在なのではないだろうか……。
フニック自身が、自分が何ものであるかを忘れかけているのかもしれない……。
フニックの服……凍てつく寒さからも、燃えさかる炎からも身を守ってくれる!?

そうだ!
この詩をフニックに詠ってもらおう!

イノスはフニックに詩を詠ってくれるよう頼み、フニックは快く承知し、詠いだす。


世界を忘れないでね
あなたが世界を想うとき
忘れた何かを思い出す
みんなの気持ちがひとつになり
愛する心を思い出す

世界を忘れないでね
みんなの美しく優しい世界
平和な世界を思い出す
青い空 白い雲 小鳥の歌声
愛する心を思い出す

あなたが自分に気づいたとき
けっして消えたりなんかしない
ひとりぼっちなんかじゃない
生きとし生けるものの青い地球
愛する世界が戻ってくる

(ハル・詩)


あなたのままで 
2004年05月15日(土)
halzo49.png 200×200 5K
イノスがいるのは真白な世界
右も左も 前も後ろも
見渡す限りマッチロケ

あんまり白いから
自分もどんどん希薄になって
記憶もだんだん消えていって
名前だけになっちゃった

「このまま名前も忘れちゃうのかな
    真白になって消えちゃうのかな」

ぼんやりとそんな事を考えてたら
どこからともなく詩が聞こえてきた
不思議な音色で詩が聴こえてきた

(春蔵様・詩)
-------------------

ふわふわと漂っている
どこまでも白い世界
今のあなたの心と同じ色
寂しげだけど愛しい色

あなたが悲しいとき
涙色に彩られ
あなたが嬉しいとき
微笑み色に彩られる

あなたに笑顔が戻って
あなたの顔が明るく輝くと
あたりに広がる青空
ここはあなたの心の世界

無邪気なイノス
自由なイノス
あなたは今ここにいる
あなたはあなたのままでいてね

(ハル詩)


[1][2][3][4][5][6][7][最古] OLD >>